ボージョレ・ヌーボーとオリオン大星雲の蜜月な関係 #NikomD810A#SIGMASDQH
K子さんから届いたシャトー・ドゥ・ピゼィのボージョレ・ヌーボー解禁日のこと。
天気予報は珍しく晴れ。飲んだらいつもの星の撮影場所に車で行くわけにはいかない。
どうしようか、空を見ながら様子を見ていたが天気予報と裏腹に雲が多く一向に晴れてくれない。

これは今日、ワインを飲め!という神様のお告げに違いない。
星空はあきらめて世界最高のボージョレ・ヌーボーをいただくこととなった。
ボージョレ・ヌーボーとオリオン大星雲の蜜月な関係 #NikomD810A#SIGMASDQH_c0065410_19565133.jpg
Nikon D810A & BORG 90FL + レデューサー & SAWT350 画像クリックで拡大できます Click to enlarge


あまりに美味しいワインをいただいてクラクラしながら、ふと表に出てみると何故か満天の星!?
撮影地には出かけられないが駐車場からオリオンが昇っているのが見える。
北極星も建物の影からなんとか視認することができる。

外灯の明かりが邪魔だが光害ブロックフィルターをつけて何とか撮影できるかもしれない?
三脚と赤道儀を駐車場にセットし極軸を合わせて望遠レンズをセット。
折りたたみのデッキチェアに腰掛けて、片手にボージョレ、片手にレリーズ。優雅な星空撮影が始まった。

↑↑それが一枚目。ノートリミング。
オリオン大星雲と馬頭星雲も左上にうっすら写っている。

↓↓下の二枚目はその写真をトリミングし、大星雲の部分を拡大したもの。
ボージョレ・ヌーボーとオリオン大星雲の蜜月な関係 #NikomD810A#SIGMASDQH_c0065410_19571184.jpg
色と明るさの違う光のカーテンを幾重にも重ねて複雑な模様を作り出しているように見えるオリオンの姿をBORG 90FLは見事に描写してくれた。
BORG 90FLは500mm F5.6相当の超望遠レンズ。フローライトレンズを装着し、レンズはたった二枚。
それに0.75倍のレデューサーをつけて360mm F4としレンズ中央部分の美味しいところだけを使用する天体専用望遠レンズ。

D810Aの素晴らしい解像力と相まってこれだけトリミングしてもまったく破綻がない。
昨年の撮影に比べても格段に進歩したかな?と自画自賛(笑)

ただ、この写真は一枚だけの撮影で得られたものではなく、実に30秒露出の16枚の画像を合成している。
長時間露光すれば色も乗ってきて星雲のガスも滑らかに描写されてくるので、もっと長い時間の露出をかけたいが
実はオリオン大星雲の中心部にはとても明るい星が数個あり、そのせいで長時間露出すると露出ーバーになって真っ白になってしまう。

そのため露出オーバーになるギリギリの露光時間のものをたくさん重ねれば、いい写真ができるのではないか?と
以前から考えていた。結果は上々、ただし周辺の淡いガスの部分はもっと長い露出をかけなければ出てこない。
HDR合成という手もあるが不自然に見えることが多いのでやらない。

↓↓Hα線という特殊な波長をとらえるフィルターを装着しているのでオリジナルはへんてこな色をしている。
ボージョレ・ヌーボーとオリオン大星雲の蜜月な関係 #NikomD810A#SIGMASDQH_c0065410_19571734.jpg
これを正しい色に変換するのが腕の見せ所(笑)
ステライメージというソフトで16枚をスタックして加算平均して得られた直後のオリジナルです。
撮影は36枚だったのですが、モニターで最大に拡大して微妙に星が点像になっていないものをハネて
残ったきれいな16枚を使っています。この上がってきた画像を見ればどれだけの調整が出来るかはわかります。

天体写真は初心者ですが、長年Phtoshopで画像調整してきたことがこんなところで役立つとは思いませんでした。
webで天体関係の写真を見ていると、せっかくいいものを撮っているのに無理矢理色を出そうとして
ノイズだらけにしている写真をよく見かけます。これもオリジナルはJPEGですから極端な補正はかけられません。
無理せず色を出す、これは一般の風景写真にも言えることで、色づきの悪い紅葉に無理矢理色を乗せて赤が飽和してしまった写真を
最近よく展示会で見かけますが、残念なことですねぇ。

↓↓で、酔っ払ってクラクラになりながら写真撮影をさせた張本人がこれです!
ボージョレ・ヌーボーとオリオン大星雲の蜜月な関係 #NikomD810A#SIGMASDQH_c0065410_19575098.jpg
SIGMA SDQuattro H & 35mm F1.4 Art


こんなことを言ったら申し訳ないですが、そこらにあるボージョレ・ヌーボーとはまったく違います。
大手のメーカーでは炭酸ガス充填により短時間で発酵を促すワインを作っていて、まったく別物のワインになります。
ボージョレ・ヌーボーなんて!という風評はその辺からも生まれているのですね。

写真はハーフボトル、庭の落葉の中で撮影しています。
支配人とはこの春にお会いしています。シャトー・ドゥ・ピゼィのワインはボージョレの中でも最高の畑からとれるぶどうを用いて自然発酵。
ボージョレ地方の全体の0.5%に満たない大変貴重なもので、昔は領主様しか飲めなかったのだそうです。
日本にはK子さんを通してその5%ほどしか輸入されていません。それを分けていただいたのですからうれしいことです!!

栓を抜いた瞬間に芳しいぶどうの香り、非常にデリケートでコクがあり、熟成されたワインに比べれば
飲み口は軽やかですが、なんとも表現しようのない奥深さがあります。
まるで夏の光をすべて閉じ込めておいて、栓を抜いた瞬間にそれが開放されたよう。
ボージョレの夏が目の前に広がってきました。

こんな素晴らしい新しいワインを片手に、深夜にダウンを着込んで星空を眺め、
オリオン大星雲の1300年前の光を愛でる、なんとも素晴らしい解禁日となりました。




by nontan91 | 2018-11-19 22:36 | Nikon 810A
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